なぜ平成仮面ライダーは響鬼から衰退したのか
平成初期ライダーの面白さ《ストーリー》
平成初期ライダーはとにかくストーリーが面白かった。クウガに始まり、ブレイドまで、そのストーリーは子供が理解できるものではなく、大人が楽しめる特撮ヒーローとなっているのが特徴である。
また、根本に残虐性があるのもまた、平成初期ライダーの特徴である。
怪人を倒すのではなく、殺すといった表現を使ったのは平成ではクウガが初めてだ。
龍騎ではライダー同士で戦いあい、一人になるまで勝負を続けるというのは、実質、人間同士の殺し合いとほぼ変わらない。
ブレイドでは、多少変更がなされて、カードに封印するというものになった。
ここから少しずつ、仮面ライダーからグロといった部分が消えていくのだ。
平成初期ライダーの面白さ《人物》
平成初期ライダーの特徴において、人物は圧倒的なものがある。主人公それぞれの個性もすごく好きでよい部分なのだが、平成初期ライダーの人間関係はかなりどろどろしたものが多い。もちろんこれは子供が見ていてもなんのことかわからないはずである。
それが一番顕著に表れているのはファイズという作品だ。
二号ライダーとして登場してくる人物が、ヒロインに一方的に思いをつのらせていることや、怪人との恋の果てに子供をやどしてしまう人物までいる。
そして、このファイズでは、怪人ではあるが人として生きたいという複雑な感情を持つ者もいれば、当然、人間を抹殺したいものもいる。
人間模様が激しすぎるのが面白い特徴であり、これは平成初期ライダーでしか見ることができない。
イケメン俳優の登竜門としての仮面ライダー
いつしか仮面ライダーはイケメン俳優の登竜門として扱われることになった。平成初期ライダーの主人公たちも、オダギリジョーをはじめ、みなイケメンぞろいである。
しかし、仮面ライダー電王でおなじみの佐藤健のように、爆発的に人気が上がるということは、平成初期ライダーにはなかった。
それはなぜだろうか。
ある意味、彼らは特撮的には成功したのだろうが、俳優としては爆発的な人気を築いたとはいいがたいのかもしれない。
いつしか、イケメンめあてで、仮面ライダーをみる人々も増えてきた。しかし、仮面ライダーの本質はそこではない。
そして、なぜ彼らが、仮面を被っているのかが全くいかしきれてないのが、平成初期から後のライダーなのである。
今現代の視聴者は、仮面の下にあるあまいマスクにしか興味がないのだ。
衰退した理由
上記に様々な平成初期ライダーの魅力や特徴を記述したのだが、これと反対のことをしているのが平成初期から後の仮面ライダーであるため、人気が落ちたと考えられる。正確に言えば、人気が落ちたというよりは、視聴者の層が変わったことで面白さが無くなったというのが的を得ているのである。
ただ、私は、ストーリーにまがまがしさがなく、現実性の欠如、残虐性の喪失、こういったことが要因として挙げられるのではないかと考える。
もちろんライダーのイメージも大事だが、それよりもストーリーだ。
アギトほど複雑でなくてもよいが、ストーリーのゴールが明確になっている作品ほど面白いと私は考える。
例えば、ワンピースなどもそうだ。
令和になり、令和最初のライダーはゼロワンであったが、まだまだ平成初期に比べると物足りないものである。