アニメ論評

映画の始まり

映画の誕生

当たり前に映画を観る時代。
ですが、その映画がいつから始まったのか知っているだろうか。
1895年。
リュミエール兄弟がシネマトグラフと呼ばれる撮影・映写の複合機により、初期の映画は誕生した。


世界で初めての映画「工場の出口」は、単に工場の出口から女工と犬が出てくるだけであった。
特に、物語があるわけではなく、日常が繰り広げられているだけの、なんてことはない作品だ。
同じように、電車が駅に停車するだけの「列車の到着」。
ややコメディタッチに描かれた「水をかけられた散水平」。
これが、初期の映画の特徴だったのだ。


現在と比べると、派手な映像でもなく、盛り上がるストーリーもないが、人々は初めて観る映像に歓喜した。
リュミエール兄弟がいなければ、現在の映画はかなり違ったものになっただろう。

初めてのキスシーン

実は、初めて映画でキスシーンを上映したのは、リュミエール兄弟ではありませんでした。
発明家のトーマス・エジソンも、映写機の開発も行っていた。
1896年にエジソンは、ブロードウェイで上演された舞台『ジョーンズ未亡人』のキスシーンだけを撮影した短編映画「M・アーウィンとJ・C・ライスの接吻」を制作した。
それは、男女が唇を重ねる。
ただそれだけのシーンだが、多くの注目を集めた。


そのため、公序良俗に反する理由で、検閲に引っ掛かり上映は中止されてしまった。
日本で、初めてキスシーンが盛り込まれた映画は、1946年に公開された「はたちの青春」だった。
佐々木泰監督が撮影し、主演は幾野道子、相手役は大坂志郎だった。
男女の唇の間には、オキシドールを染み込ませたガーゼを挟んでおり、今とは全く違ったキスシーンである。
だが、このキスシーンは、日本映画の発展に大いに貢献した。


この映画の裏には、日本人の思想を改造するためには、人前で欲望や感情を表明することだとの、GHQの指導もあったためである。
まさに、日本人がキスという形で愛を表現した作品なのだ。



最長の映画

世界一長い映画は、「アンビアンス」だ。
その長さは、720時間もあるのだ。
監督は、スウェーデン人であるアンダース・ウェバーグは、自身のアーティストとしてのキャリアを2020年に終了させるための集大成として作った映画だ。


2020年12月31日から、30日をかけて世界同時上映され、その予告編だけでも第一弾は72分。
第二弾は7時間20分もあるのだ。
更に72時間もある予告編もあることからその長さが伺える。

前衛的な内容で、娯楽というよりは、芸術性が高い作品である。
この作品の上映が無事に済めば、間違いなく世界で一番長い映画になるのだ。
だが、この映画は上映終了後にはすべての映像が消去されるため、世界一長い映画は、同時に幻の映画になる可能性もあるのだ。

世界で初めてのCG作品

現在、当たり前に多用されているCGだが、その本格的なスタートは、1982年に製作された「トロン」だ。
コンピューターゲームが暴走し、その世界へと人間が入り込むというストーリー展開で、いわばその舞台は仮想空間を描いたものだ。
まるで、異世界にでも飛び込んだような不思議な世界を、それまではアニメーションなどとの合成で表現されてきたが、コンピューターで作られた世界との融合は、斬新な映像を完成させた。

コンピューターの内部を表現した美しい映像は、多くの人々を驚かせ、それと同時に映画の可能性を教えてくれる作品になった。
この映画がなければ、「ジュラシックパーク」も、「マトリックス」も誕生しなかったかもしれないのだ。まさに、映画界の歴史を変えた作品だ。