シドニィ シェルダン

翻訳者の超訳の影響を受けて、作品の厚みが出た。

シドニィ シェルダンは我が国で、真夜中は別の顔という作品で人気がでて、有名になった作家です。
日本語に訳された訳本が素晴らしく、映画化もされました。
次はどんな展開になるんだろうと予想外な罠やオチがあちこちに散りばめられてあり、読者が夢中で読み進めてしまうように仕組まれた本で、別名悪魔の書とも感じさせる悪魔的な魅力が特徴です。

真夜中は別の顔

本作品は青年実業家として成功を収めるに至ったギリシャ人、コンスタンティン.デミリスを軸にして綴られます。
大成功をしたクリーンなイメージの陰では、人から受けた恩と恨みを忘れない性格なため、予想外の恩恵に預かる者と、非業の死を遂げる者と、二者択一の世界が展開されます。
一言で言えば、異常な精神の持ち主です。
彼の愛人ノエルが密かに恋仲であるラリーとの関係を知ったデミリスはしたたかに罠をはり、ラリーの本妻が行方不明になった際にそれを匿います。
妻殺しの疑惑が浮上して裁判になると、弁護士を通じてありもしない殺害の自供を巧みに引き出し、二人は死刑判決を受けます。
裏切り者には死を与えるという非道な終わり方に身震いをします。

続編作 明け方の夢

真夜中は別の顔の続編です。
でっち上げ裁判をしかけたデミリスの復讐劇でありましたが、少しずつ綻びが出始めます。
死んだはずであったラリーの妻の生存が明るみになり、裁判を請け負った弁護士を消しに入るデミリス。
自宅が火災に見舞われた弁護士は二階の窓から落下し、証拠隠滅を図るが、身体が不自由にはなるが弁護士は生き残ります。
さらに疑惑の目がデミリスに向けられた時に、その弁護士が法廷に現れ弁護を担当します。
恨みこそあれ、何故デミリスに加担するのか。
裁判は無罪となり釈放。
ほくそ笑むデミリスでしたが、弁護士の運転する車に乗り込んで帰宅しようとしたが、その車が山の途中から真っ逆さまに転落。
命がけの弁護士による復讐劇は幕を閉じました。

おすすめ作 ゲームの達人

主人公の老婆ケイトは、冷え切った夫婦の間に生まれ、数奇な運命を辿ります。
彼女の父は純朴な青年でアフリカでダイヤモンドを発掘する夢を見て懸命に働きますが、業者にだまされ、半殺しの目に遭い、その中で命がけで財を築き、業者の娘をなびかせて、町中の笑い者にして、彼を破産させた上でピストン自殺するまでに追い詰めます。
復讐劇を果たした後はビジネス展開を成功裏に導きますが、暴動がおき息子は殺され、正気を失います。
その息子の下に生まれたのがケイトです。
彼女自身も配偶者が夭折し、一人息子を自分の意のままにしようとしますが、それがもとで息子の人生を台無しにしてしまいます。
人生のゲームに勝ち上がりには何を犠牲にして、何を手に入れるかが大事であると、作品を通じて語りかけてきます。