楽観主義の悩み
心の中の気持ち
『今日も、気分よく過ごしたい!』突き抜けるような青空がベランダの窓から見えた瞬間に、しおりは素直に思った。
すぐに重たいベランダの戸を開け、空にぷかりと浮かぶ白い雲を見つめた。
天気の良い日は気持ちがいいものだ。
人の気持ちは、勝手である。
いい加減である。
自分でも自分の気持ちなんてさっぱりわからないものであるのだ。
子どものことで悩む、旦那の事で悩む、仕事の事で悩む。
しおりは、何も悩まずにいたいといつもどこかで思っていた。
しかし、悩むといっても、楽観的な性格で何かがあっても、良い方向にと舵をとり、進んでこれたのは、何でも話せる珠代の存在のおかげである。
べたべたと仲が良いわけではないし、考え方も違うタイプであるが話しだすと終わらない。
気が合うのか、それぞれが自分の意見をもっているからなのか、ともかく、話すことで、絆を深めてきた友人である。
しおりは、珠代が率直に考えを言うたびに、そんな考え方もあるのかと素直に驚き受け入れることが出来た。
こんな友人なかなかいない。
何より話すことで自分の本心、自分の本当の気持ちが分かるようになったのだ。
どんな悩みも、結局自分の悩みであるはずだが、自分自身を見つめることなどそうそう出来ない。
しかし、しおりは悩む度に、珠代のおかげで自分と向き合ってきた。
心の中の気持ちを認めてきたことで、しおりの楽観主義的な考えができたのである。
心の中の気持ちを大切にできるように、なった時、しおりは生き方が変わった。
生きやすくなったと感じたのだった。
自分の中の自分の存在はとっても複雑なのだ。