運命の出会いの扉がひらくとき
朝から響子はイライラしていた。洗濯に取りかかろうとしながら深いため息をついた。
更年期と言えばそういう年頃なのかもしれないが自分ではまだまだ若いつもりだ。
おしゃれや体型維持にも力を入れているし、大学生の娘と高校生の息子がいるようには見えないと言われることだってある。
派遣先の会社では10才も下の男性社員から飲みに誘われたことだってある。
おばさんなんかじゃない、自分ではそう信じていた。
でも・・・
気がついたら気持ちはずいぶん年を取っていた。
不仲の夫とは会話もほとんどなく、派遣で週3日働く以外は家で地味な家事に明け暮れる日々。
近くに悩み事を打ち明けるような友人も打ち込める趣味もない。
このまま年を取るのか・・・ふと不安が襲う。
そんな時、学生時代の親友かなえのハガキを思い出して手に取ってみる。
先週沖縄から届いた絵はがき、青い海の写真がプリントされている。
響子へ
元気にしていますか?
突然だけど、私は先月から沖縄で暮らし始めたんだよ。
離婚した時は絶望してもう全てが終わりのような気がしてたけど今は違う。
47才からでも歩いていけそう!
響子も遊びにおいでよ。ゴーヤーチャンプル練習して待ってるから。
かなえより
会いに行ってみようか、10年以上も会っていないかつての友に。
私も扉を開けて次のステージへ行けるかしら。
恭子は絵はがきをそっと手帳に挟み込んだ。