3分の電話
現在、大学生である私は前日一本の電話で命拾いをした。ある朝私は、自宅を出て学校に向かうため準備をしていた。
私の学校は最寄りの駅から電車で20分の近場である。
私の家から駅まではおよそ徒歩10分だ。
そんな近場であるため、遅刻の心配も多く、気が緩むこともあった。
そんなある日
家を出ようとしたまさにその瞬間に自宅の電話が鳴った。
お父さんもお母さんも仕事でいなかったため、いつもであればそのまま出てしまうこともあるが、どういうわけだか直感的に出ることにした。
相手はおばあちゃんだった。
何て事が無いたわいもない会話。
夏休みはこちらへ来るのかなどだ。
その際はおよそ3分であろう。
それを終え私は駅に向かい、来た電車に乗ることにした。
その電話をしたことによる時差はたかだか3分間。
電車一本分の差である。
なんて事も無く、乗り込みイスに座り本を読みしばらく進んだ時のことであった。
車内アナウンスが放送された。
「ただいま前を行く電車内にてトラブルが発生しました。しばらくお待ちください」と緊急停車をした。
その際およそ10分間、アナウンスが再び流れて電車は動き出した。
その後聞いた話では、車内で包丁を持った人間が暴れていたそうだ。
幸い死者こそ出ませんでしたが、負傷者数名。
私も電話が無ければ、被害者の一人になりえたのだ。