海の家での恐怖
私は友人の叔父さんが経営している海の家でアルバイトをすることにした。とはいっても夏休みの間だけだ。
私がアルバイトをしようと思ったきっかけはワンピースが欲しかったからだ。
お母さん行きつけの洋服店にとってもかわいいワンピースがあって、私はそのワンピースに一目ぼれしたのだ。
私一人だけでは寂しいから友人に頼んで一緒に海の家でアルバイトをすることになった。
友人としては夏休みの間、めいいっぱい楽しみたかっただろうことを考えると、本当に申し訳ない事をしたと思う。
しかし、友人は私と一緒に過ごせるし、お金も稼げるから一石二鳥だよと言ってくれた。
私は本当に良い友人を持ったなと誇らしげな気持ちになる。
アルバイトを始めてから数日間はミスを連発したが、叔父さんはそんな私を怒ったりせず、地道に頑張ろうねと優しく言ってくれた。
叔父さんだけでなく、お客さんも優しくて、私はここでのアルバイトがとても楽しかった。
――あの日までは。
私がアルバイトを始めてから二週間ほどたった頃だ。
ふと寒気を感じて私は目が覚めた。
時刻は深夜0時を過ぎていた。
私は海の家を出た。
私は海がポゥッと光っているのに気がついた。
私はなぜだか怖くなり、足を止めようとした。
しかし、私の足は止まらなかった。
何かに導かれるように海へと一直線に進んでいく。
海へと入った途端、無数の白い手が伸びてきて、私の体を掴んできた。
私は恐怖で気を失った。
目が覚めた時、私は布団で寝ていた。
あれはいったいなんだったのか、未だにわかっていない。
» 懐かしい昭和の頃の「海の家」はもう古いのか?