インサイティングイベントとは

小説や映画のストーリー展開の手法として、三幕構成というものがある。
三幕構成は、ハリウッドの脚本に用いられるストーリー構成の手法だ。

よく起承転結という言葉があるが、これと似たような構成を指す。
三幕構成では物語を大きく、紹介、対立、解決の三つに分け、それぞれから次の段階へ移行するファーストターニングポイント、ミッドポイント、セカンドターニングポイントがある。
インサイティングイベントとは序盤のターニングポイントのきっかけとなる出来事のことだ。

例えば、主人公と近しい関係の誰かの死であったり、主人公の感情を揺さぶるような出来事がインサイティングイベントだ。

物語が大きく動く出来事であり、それをきっかけにストーリーが転がり始める。



インサイティングイベントによる効果

物語の序盤にインサイティングイベントを入れることにより、そのストーリーが動き始める。
具体的にはファーストターニングポイントへ繋がり、セントラルクエスチョンが明確になる。

セントラルクエスチョンとは、物語を通して主人公が解決する問題だ。


物語の軸となり、この結果が物語そのものの結果となる。
あるいは中盤で結果がはっきりし、新たな問題が提示されることもある。
ファーストターニングポイントはインサイティングイベントを受け、主人公が決める決断だったり行動を起こすことで、第一幕の終わりと位置付けられる。


これから始まる物語がどこへ向かうのかを観客にはっきりさせる作用があるので、物語を書く上で最初のポイントとなる部分だろう。



なぜインサイティングイベントが重要なのか

小説や映画のインサイティングイベントはとても重要だ。
どういう話が始まるのかということをわかりやすく、明確に読み手に伝えることができるからだ。

逆にいうとこれがなければ、冗長となり読み手を飽きさせてしまう。

2時間の映画などでは大体15分ごろにインサイティングイベントが現れる。
これは第一幕の半分までに出すようにする。
あまり遅いと観客の興味が失せてしまう可能性があるからだ。

このインサイティングイベントを受け、主人公が何かしらの決意を固めるのがファーストターニングポイントになる。


つまり、インサイティングイベントが起きなければ、ファーストターニングポイントが訪れない。
ファーストターニングポイントがなければ、第一幕が終わらず、どこに向かって進んでいるのか、見ている側もわからなくなってしまうというデメリットがある。



効果的なインサイティングイベントのポイント

インサイティングイベントはストーリーのつかみ部分なので、印象的であることはもちろん、遅くなりすぎないようにすることがポイントとなる。

例えば、インサイティングイベントがなくだらだらと物語が続いていくと読み手は疲れてしまう。

なぜならその先の行動や目的がはっきりしないためだ。
どこへ向かって進んでいるのかわからないのに読み進めるのは苦痛になる。

映画であれば見ているだけだが小説では読むという動力が必要となるため、読み止められてしまう可能性が高くなるだろう。
またインサイティングイベントやセントラルクエスチョンには、主人公の考え方や思想が関わってくる。

これらより前の部分で主人公の求めるものや悩みなどの人間性に関する情報を提示しておくこともポイントになる。

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